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  • 485系の置き換え用車両
    E653系は485系の置き換え用として1997年10月に登場した特急形車両です。
    周波数が60Hz対応のほか、準耐寒、耐雪構造となっているため電化区間なら全国どこでも走れる仕様なので、JR常磐線に限らず全国の485系の置き換え用としても注目を集めることになります。しかしグリーン車を連結しないなど通勤客向けであることと、東北地方に交流専用のE751系が投入されるなどして波及はしませんでした。
    従来の「ひたち」に新鮮という意味合いを足した「フレッシュひたち」として運転を始めますが、グリーン車表記のある「フレッシュひたち」は651系で運転されていました。また、当時は定期券と特急券で乗れる特急列車に「新特急」という称号をつけていましたが、「フレッシュひたち」には付きませんでした。

    7両固定の基本編成が8本、4両固定の付属編成が3本(計68両)投入されますが、増発対応として2005年2月に付属編成が1本追加投入されました(計72両)
    車体カラーは編成毎に異なり、それぞれJR常磐線沿線や茨城県の観光地をイメージしたものとなり、先頭車のドア横にはモデルとなった観光名所を描いたステッカーも貼られていました。
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  • 車内設備
    列車は上野・桐生寄りが1号車、いわき寄りが7号車(付属編成は4号車)で、座席定員は基本編成が466人、付属編成が268人と、651系よりも1割ほど増えています。付属編成は波動用になってから1〜4号車として運転されていますが、元々は8〜11号車でした。

    トイレは基本編成が1・3・4・6号車、付属編成は1・3号車(旧8・10号車)になります。
    先述の通りグリーン車は連結されておらず、快適さを求めないことで無駄な設備を排除しています。

    座席の間隔も485系とほぼ変わりませんが、座席の構造を変えたり座席下に直置きが基本だった暖房器具を吊り下げ式にすることで、居住性を向上した上で座席定員の増加につながっています。さらにデッキと客室の仕切り扉を強化ガラスにするなどして、車内を広く見せる工夫も施されています。



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  • 運用
    1997年10月1日から「フレッシュひたち」として上野−いわきで運転を開始。「スーパーひたち」が速達タイプなのに対し、「フレッシュひたち」は停車駅の多い通勤客向けとなっていました。前述の通り651系の「フレッシュひたち」がありますが、E653系の「スーパーひたち」はありません。

    E653系の「フレッシュひたち」の上野−勝田は基本編成+付属編成の11両での運転を基本とし、時間帯によっては基本編成のみで運転される列車もありました。一方で朝夕には基本編成同士を連結した14両編成で運転される列車もあり、混雑緩和と大量輸送に大きな役割を果たしていました。
    勝田−いわきは基本編成のみの運転で、繁忙期の高萩延長運転や高萩駅発着の臨時列車も含めて付属編成のみの単独走行はありませんでした。

    本来なら2012年3月に引退し、付属編成はいわき−仙台に新設される特急列車として新たな活躍の場が約束されていましたが、東日本大震災の影響でJR常磐線は長期に渡り不通となって計画は白紙となり、さらにE657系への置き換えも遅れて2013年3月15日まで運転が延長されました。残念ながらさよなら運転などはありませんでしたが、水戸駅や上野駅で651系と共に記念駅弁やグッズの販売が行われ、ささやかに別れを惜しみました。ちなみに最終列車となった「フレッシュひたち67号」は、疎開も兼ねて終点の高萩駅まで11両で運転されました。
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  • 車体カラー
    K301編成・K305編成は赤(スカーレットブロッサム)偕楽園と好文亭 ※水戸市
    K302編成・K308編成は青(ブルーオーシャン)塩屋崎灯台と太平洋 ※福島県いわき市
    K303編成・K306編成は黄(イエロージョンキル)国営ひたち海浜公園と黄水仙 ※ひたちなか市
    K304編成・K307編成は緑(グリーンレイク)霞ヶ浦と帆曳船 ※土浦市
    付属編成は橙(オレンジパーシモン)袋田の滝と紅葉 ※大子町

    何故か付属編成のカラーリングはJR水郡線沿線の観光地がイメージされましたが、その縁もあってか水郡線営業所(2022年3月から水郡線統括センター)の事務所入口には付属編成のドア横にあるステッカーと同じものが貼られています。

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  • 引退後
    2013年3月のダイヤ改正で引退しましたが、基本編成は順次郡山総合車両センターへ入場し、改造工事を施されて新潟車両センターへ転属して特急「いなほ」として運転が開始されます。一方、最後まで勝田車両センターに残ったK308編成と付属編成で波動輸送をこなしてきましたが、2014年8月に付属編成も新潟車両センターへ転属して特急「しらゆき」として運転されることが発表されると、相次いで郡山総合車両センターへ入場して第一線から退いていきます。そして10月28日にK308編成で運転された団体列車を最後にE653系の波動輸送は終了し、2015年3月までに全ての編成の新潟転属が完了しました。

    新潟への転属に際してはカラーリングの変更と、耐寒・耐雪設備の強化、車椅子スペースの設置などに加え、7両編成は1号車がグリーン車に改造されるなど大幅なリニューアルが行われました。また、「いなほ」と「しらゆき」に分かれるため7両編成は1000番代、4両編成は1100番代に区分けされて同調運転はできなくなっています。なお、経緯は分かりませんが、K308編成は4連化されてH-204編成となり、K354編成はK308編成の余剰車を組み込んで7両編成化されてU-108編成となりました。そのU-108編成が2018年秋にK70編成として勝田車両センターに戻ってきましたが、それについては現行の勝田車両センター図鑑の方をご覧ください。
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  • 勝田・首都圏への来訪
    実は新潟車両センターに転属した後も勝田車両センターに度々やってきています。一番最初に改造されたK301編成改めU-101編成は、2013年6月25日にJR水戸線経由で郡山総合車両センターから出場した後、数日ほどJR常磐線で試運転を行いました。暫く間を置いて2016年3月5日に開催された勝田車両センターまつりにU-108編成が招かれ、かつての同胞達と肩を並べて展示されましたが、この時は651系がフルカラーLEDのヘッドサインを点灯した事で話題が全部そっちにもっていかれてしまい、あまり目立たぬ存在となってしまいました。同年7月下旬には機器試験のため、再びU-101編成が勝田車両センターを数日間訪れています。

    7両編成の1000番代は秋田県や新潟県と東京都内の間でも団体列車や臨時の特急列車として運転されることがあるので、JR高崎線やJR武蔵野線など関東でも見れる機会はありますが、JR常磐線への入線は上記だけになります。
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  • 転属組の現在
    1000番代化された7両編成はJR羽越本線で「いなほ」として新潟−秋田(JR白新線経由)で運転されています。2017年秋には一部編成の塗色変更が発表され、10月にU-106編成(元K306編成)が瑠璃色に、12月にU-107編成(元K307編成)がハマナス色となりました。
    1100番代化された4両編成はJR信越本線の新潟駅とえちごトキめき鉄道妙高はねうまライン上越妙高駅との間で「しらゆき」として運転されています。また、コロナ禍での大幅減便以降、一部の「いなほ」(新潟−酒田)も1100番代で運転されています。こちらも2024年に一部編成の塗色変更が発表され、4月にH-202編成(元K352編成)が新潟エリアで活躍した上沼垂色になっています。
    種車は間もなく車齢30年となりますが、年齢を感じさせない活躍が期待されそうです。
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