ホーム > 特集 > 小山駅きそば 珠玉の一杯


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  • 小山駅の「きそば」とは?
    小山駅のホームに立ち食いそばができたのは戦後間もなく(1950年代)といわれています。1991年になって日本レストランエンタプライズ(2020年4月に合併で消滅)から委託を受けて、栃木県栃木市に本社・工場がある「中沢製麺」が営業を引き継ぎました。最盛期には小山駅のJR宇都宮線上りホーム、JR水戸線ホーム、JR両毛線ホームと、JR両毛線栃木駅構内の合わせて4店舗が展開されていましたが、JR水戸線ホーム、JR両毛線ホーム、栃木駅の店舗は2015年3月31日をもって閉店。JR宇都宮線上りホームに残った店舗だけが以降も営業を続けていました。
    しかしその店舗も、2022年1月14日をもって委託元から追い出される形でやむなく閉店となりました。生涯食べ続けられると思ったものが理不尽な理由で無くなったのは遺憾でしたが、小山駅にはおいしい立ち食いそばがあったのだという記録をここに残しておきます。

    ※メニューにはうどんもありましたが、期間限定メニュー以外ではそばしか注文していませんでしたので、そばばかりの紹介となります。


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  • 私と「きそば」
    1996年春より電車通学を始め、小山駅を利用していました。夏には学生生活も落ち着き、さらにアルバイトを始めたことで金銭にも余裕ができて、この頃よりきそばをよく利用するようになりました。帰り道の導線にあり、しかも気兼ねなく利用できる。そして安くてうまい。はまらないわけがありません。
    一番利用していたのは当然、JR水戸線ホームの店舗。後にアニメ映画に登場するJR両毛線ホームの店舗は1度も利用したことはありません。また、JR宇都宮線上りホームの店舗も、当時はつゆがぬるくて不味いという逸話があったため敬遠していました(1997年秋ごろに1度だけ利用したことがありましたが、たしかにJR水戸線ホームの店舗と比べるとぬるかったです)
    JR水戸線ホームの店舗が無くなった後はJR宇都宮線上りホームの店舗を利用するしかありませんでしたが、つゆの温度に差異はありませんでした。ちなみにつゆがぬるい問題は、私の親曰く国鉄時代、すなわち中沢製麺になる1991年より前からあったそうです。

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  • かけそば(280円)
    一番オーソドックスなメニューですが、実はお店ではこの撮影のためだけに注文した1回しか食べた記憶がありません。シンプルすぎて物足りないという考えもありましたが、後述の月見やきつねに至っては、「きそば」で一度も食べることはありませんでした(きつねに関しては、うどん・そばに入っているお揚げの味付けが嫌いだから)

    ※2021年12月29日撮影

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  • 天ぷらそば(390円)
    私のソウルフードです。仮に「きそば」で生涯500杯食べていたとしたら、そのうちの470杯は天ぷらそばだったと言っても過言はありません。価格については2005年4月29日に350円で食べたというのが家計簿に残っていました。察するに物価高騰による値上げはせず、消費税増税分だけ上乗せしてきたようです。味どころか値段すらほとんど変わってないのも親しまれる一因だったのかもしれません。
    ちなみにJR両毛線栃木駅の店舗も何度か利用したことがありますが、やっぱり天ぷらそばしか注文していません。

    ※2015年3月14日撮影

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  • 山菜そば(380円)
    私の学生時代には無かったメニューのひとつ。興味本位で注文してみましたが、山菜はスーパーなどでも売っている山菜そば・うどん用の素みたいなのと変わりありませんでした。閉店騒動の最中でも、注文している人は少なかったです。

    ※2022年1月7日撮影

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  • コロッケそば(380円)
    こちらも私の学生時代には無かったメニューのひとつ。コロッケそばは玄人向けなんて話題が昔ありました。コロッケは汁を吸うと衣がはがれ、中のタネがボロボロになって食べづらいから素人には向かないということですが、「きそば」で提供されていたコロッケは冷えて固まっているのか、元々硬めに作ってるの分かりませんが、しっかりしていて生半可な汁の吸い具合では型崩れせず、食べやすかったです。
    ちなみに閉店の報を聞き受けて今まで食べたことの無かったメニューを記録しておこうと行列にも並びましたが、以前にコロッケそばを食べていたことをすっかり忘れていて、2022年1月11日、「きそば」で生涯最後に食べたメニューになってしまいました(笑)

    ※2020年10月31日撮影

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  • 生そうめんの冷やし麺(370円)※2019年夏季までの価格
    2013年ごろから期間限定や季節限定メニューが登場しました。そのうちのひとつ、夏季限定(6月ごろ〜9月初め)の生そうめんの冷やし麺です。すでに一部メニューの冷やし対応は始まっていましたが、「きそば」で冷たい麺が食べれるなんて1997年夏に冷やしきつねが始まった時以来の衝撃でした。
    地元の小麦を使用していて、そうめんらしからぬ強いコシが特徴的でした。写真の右上に見切れていますが、別添えのすりごまを振りかけたり、チューブのしょうがを足したりして味の調整が可能でした。

    ※2019年6月30日撮影

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  • 鳥皮の旨煮そば(450円)
    冬季限定(12月初め〜3月末)ながら、2014年度の登場以来、人気の高いメニューです。鳥皮はカリカリに焼きたい派なので登場当初は遠慮していましたが、程よい大きさに刻んであるため、食べてみればしょうゆ味のモツ煮のような感じで美味しくいただけました。
    2021年も早速食べようと12月頭に「きそば」へ行きましたが、メニューに無かったので仕方なくお決まりの天ぷらそばを注文。その翌週に閉店のお知らせが出ました。今思えば、すでに立ち退きが決まっていて季節限定メニューが出せなかったのだなと思います。

    ※2017年3月28日撮影

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  • トッピング「生卵」(60円)
    私が「きそば」に通い始めた当時は、かけ、天ぷら、きつね、月見しかありませんでしたが、天ぷらと生卵が最初から入っていた天ぷら月見そばもメニューにありました。当時の値段は覚えていませんが、給料日後のちょっとしたご褒美としていただきました。先述で「きそば」の月見そばは一度も食べたことがないといいましたが、こういう形では食べていました。
    口頭での注文から食券機での注文に切り替えた際に無くなってしまったのかなと思いますが、消えた理由は定かではありません。しかしお店のカウンターに貼られた「きそば新聞」にも天ぷら玉子そばの表記がありました。…ん?月見じゃなく玉子?名称はどうにせよ、そういったメニューが昔あって、通な人は今でも天ぷらそばに生卵をトッピングしていました。そして私自身、JR水戸線ホームの店舗で最後に食べた1杯として記憶に残るものとなっています(当時は370円+50円)

    ※2015年3月31日撮影

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  • トッピング「岩下の新生姜スライス」(110円)
    中沢製麺と同じく栃木県栃木市に本社がある岩下食品と2015年よりコラボレーションするなどの縁があり、2017年6月より岩下の新生姜スライスがトッピングに登場しました(写真は生そうめんの冷やし麺にトッピング。当時は100円)
    後に最初から具として入っている岩下の新生姜スライスそばも390円で提供されていました。

    ※2017年6月24日撮影

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  • トッピング「イモフライ」(160円)
    ブランド総合研究所の調査における2020年度の都道府県魅力度ランキングでは、栃木県が最下位となってしまいました。その結果を受けて栃木県の名物を乗せに乗せまくった期間限定メニューが登場しましたが、その中のひとつであったイモフライが、販売終了後に1日限定10本ながらトッピングとしてメニューに追加されました。ちなみにイモフライとは、佐野市を中心とした栃木県南で親しまれているおやつにもおつまみにもなる蒸しジャガイモのフライです。

    ※2021年12月29日撮影


    このほか、上記で紹介した天ぷら、きつね、山菜、野菜コロッケも単品で追加注文が可能でした。
    注文している人を見たことありませんが、+60円でネギ大盛りにもできました。

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  • お土産「ゆず七味」(650円)
    そばと言えば七味唐辛子をかけるでしょうが、私はお店本来の味を楽しむために極力かけません。お土産として購入できるものの値段の高さから手が出せず、今思えば後悔したな〜と思いますが、後述するネットショッピング(お取り寄せ)で購入が可能です。

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  • お土産「揚げ餅」(190円)
    「きそば」でまったくと言ってよいほど七味はかけませんでしたが、揚げ餅が好きなので購入しました。中沢製麺は製麺所ゆえ、鹿沼市で米菓を製造している株式会社石黒が製造元となっています。JR水戸線ホームなどでは販売していなかったので、2015年4月以降に売られるようになったと思います。辛さはそれほどでありませんが、ゆずのさわやかな香りが広がる病み付きの逸品です。

    ※2022年1月7日購入

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  • ネットショッピング(お取り寄せ)
    中沢製麺では自社ネットショップのほか、JR東日本のECサイト「JRE MALL」にも出店していて、それぞれで「きそば」の再現セットを購入することができます。
    商品は被らないようになっていますが、形から入るなら丼が必要なので、JRE MALLの丼付きセットがお勧めです。その後はお好みに合わせて注文すると良いと思いますが、自社ネットショップでは後述する栃木県産小麦「イワイノダイチ」使用のひもかわうどんや、私がソウルフードと自負する天ぷらそばの再現セットも販売されています。さらに夏季限定で前述の生そうめんの冷やし麺(商品名は生そうめん)も販売されていて、「きそば」が家で気軽に楽しめます。また、お土産として紹介したゆず七味、揚げ餅も購入できます(ゆず七味単品での販売はありません)

    自宅で再現、アレンジしたものはこちらで紹介。

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  • 秋のトリプルお月見そば(430円)
    ここからは期間限定メニューを紹介します(価格は当時のものです)
    「きそば」でいつごろから期間限定メニューを提供し始めたのかは分かりませんが、私が最初に食べたのは2013年9〜11月に登場した秋のトリプルお月見そばです。生卵、味付け煮玉子までは分かりますが、銀杏の天ぷらは少々苦しい気もします。しかし秋の味覚としてはうってつけだと思いました。

    ※2013年10月5日撮影

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  • チキンカレーうどん(430円)
    2014年12月〜2015年3月に期間限定で登場したのはチキンカレーです。まさか「きそば」でカレーうどんを食べる日が来るとは思いもしませんでした。カレーはパックに入っているものを湯せんするため、天ぷらそばなどの一般メニューに比べると時間がかかっていました。

    ※2014年1月26日撮影

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  • 岩下の新生姜の天ぷらと岩海苔のそば(450円)
    岩下の新生姜スライスのトッピングでも触れましたが、2015年から岩下の新生姜(岩下食品)とのコラボが始まりました。その記念すべき第1弾が2015年4〜6月の期間限定で登場した岩下の新生姜の天ぷらと岩海苔のそばです。天ぷらにすると辛さが引き立つような気がしましたが、後から爽快感が広がってきてとても美味しかったです。

    ※2015年6月6日撮影

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  • 千切り岩下の新生姜のせそば〜イカ天を添えて〜(470円)
    岩下の新生姜とのコラボ第2弾が早くも同年9〜11月に期間限定で登場。それが千切り岩下の新生姜のせそば〜イカ天を添えて〜です。岩下の新生姜が紅しょうがのように千切りになってトッピングされ、一般メニューに無いイカの天ぷらとの相性は抜群でした。
    この後も麺に岩下の新生姜を練り込んだメニューが登場するなどコラボは続きましたが、残念ながら食べる機会に恵まれませんでした。「きそば」では提供されませんでしたが、自社ネットショップでは夏限定で岩下の新生姜パウダーを練り込んだ生そうめんが販売されています。

    ※2015年10月31日撮影

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  • 生ひもかわうどん(380円)
    2016年4〜6月の期間限定でひもかわうどんが登場。群馬県桐生市の名物が何で栃木県の立ち食いそばに?とは思いますが、経緯は不明です。小麦は栃木県産のイワイノダイチを使用していて、立ち食いそばに似つかわない強いコシがあり、噛めば噛むほど小麦の風味が口の中に広がりました。注文を受けてから生めんを茹でるため、出てくるまで2分ほど掛かるので急いでいる人には向かないメニューでした。
    麺は自社ネットショップで販売されています(商品名は栃木県産小麦粉「イワイノダイチ」のひもかわうどん)

    ※2016年5月3日撮影

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  • 蕎麦パスタ 無添加ベーコンのトマトソースと共に(470円)
    2017年4月1日〜6月30日の期間限定で、なんとパスタが登場しました。さすがに見たときは度肝を抜かれましたが、製麺所だからこそできるメニューだと思います。麺は地元産の小麦粉などをベースにしているため、そば粉の割合は20%なので蕎麦ではなく生パスタですという注意書きもありました。
    トマトソースについては失念してしまいましたが、地元企業だかレストランの協力の下、麺にあうように作られた本格ソースとなっていました。そこまでこだわれば美味しいのは当たり前ですが、立ち食いそばでフォークを使うという違和感だけは拭い去れませんでした(笑)
    注文を受けてから生パスタを茹でるため、出てくるまで3分弱という、「きそば」史上最も時間のかかるメニューでもありました。

    ※2017年5月4日撮影

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  • カレーコロッケそば(370円)
    一見すると野菜コロッケそばですが、実はカレーコロッケです。2017年および2018年9月末〜12月初めの期間限定で販売されました。通年販売してもよい気はしますが、何ゆえ秋季限定だったのかは分かりません。結構美味しかったので2019年秋の登場も期待しましたが、次に紹介する期間限定メニューの登場で叶いませんでした。

    ※2018年10月7日撮影

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  • ジャンボメンチカツそば(480円)
    2019年9月〜12月5日の期間限定で登場したのはジャンボメンチカツ!でかい!!。カレーコロッケが3年連続で登場しなかったのには訳があって、小山駅構内の大手牛丼チェーン「吉野家」がリニューアルのため暫く閉店していましたが、営業再開に合わせて「きそば」でも肉を食ってもらおうという計らいから誕生したそうです。
    見た目のインパクトも凄いですが、食べ応えも十分です。ただしメンチカツの味が若干濃く、それに加えて「きそば」のつゆですから、塩分や血圧を気にしている人にとっては危険な一杯だったと思います。

    ※2019年11月10日撮影

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  • 栃木は魅力度最下位??そば(550円)
    2020年12月1日〜2021年3月27日の期間限定で登場したのは栃木県の名物を一挙に盛り合わせたものでした。これはトッピングのイモフライでも触れましたが、2020年の都道府県魅力度ランキングで栃木県が最下位だったことに各方面が憤慨し、「きそば」でも魅力度向上の助力として販売されました。
    のっているのは佐野のイモフライ、日光のゆば、宇都宮の餃子(揚げ)でしたが、青みで鹿沼のニラなんか入っていても良いかなと思いました。更に栃木度を増すために、トッピングの岩下の新生姜スライスを追加していた人も多かったようです。
    販売終了日が中途半端なのはイモフライの仕入れに関することだったそうですが、間もなくしてイモフライのみトッピングメニューに追加されました。

    ※2021年3月11日撮影

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  • きそばのめんつゆで作った煮干し中華そば(560円)
    2021年4月1日〜5月31日の期間限定で登場したのは何とラーメン!。もう何が来たって驚かないぞーと思いましたが、その手があったかと逆に関心しました。食べ慣れた「きそば」のつゆに煮干し粉を合わせるだけでこんなにも味が変わるものなのかとビックリしました。何度も食べたくなる味だったので再販の期待もありましたが、これが「きそば」で提供された最後の期間限定メニューとなってしまいました。
    このラーメンとまったく一緒とはなりませんが、JR両毛線栃木駅の南口にほど近い人気ラーメン店「めんや天夢」がアレンジしたものが中沢製麺ネットショップで販売されています(商品名は天夢流!きそばのめんつゆで作った煮干し中華そば 3食セット【麺とスープのみ】)

    ※2021年5月30日撮影

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  • 立ち食い店舗は無くなっても、あの味はいつもあなたのそばに
    小山駅の「きそば」は無くなってしまいましたが、あの味を思い出したかったら栃木市の工場へ買いに行くか、ネット注文すれば自宅で再現できます(麺のみなら栃木市と小山市の一部スーパー等でも販売。取り扱い店舗は中沢製麺ホームページの会社情報→本社工場店のご案内で確認できます)
    JR山手線大塚駅の南口の近くに直営店「東京なまめん なかざわ製麺」もできましたので、近郊に住んでいる人ならより作りたてに近い麺を味わうこともできます。そして「小山のきそば号」としてキッチンカーを運営されているグループもあって、栃木県南や茨城県西で週末を中心にあの味を届けてくれます(7月1日〜8月31日は一般の出店依頼を休止、イベント等でのみ出店予定)
    また、2024年1月現在、中沢製麺の公認として「きそば」の味を提供しているお店が栃木県内に5店舗あります。詳細は各店のリンクをご覧ください。
    ・おやまのきそば足利市駅前店(Twitter
    ・宇都宮きそば(リンク無し。所在地はJR宇都宮駅東口の駅前横町内)
    ・小山に帰ってきたきそば(Instagram
    ・駅のきそば(リンク無し。所在地はライブガーデン栃木本店内とスーパーライブガーデン野木店内)

    公認ではありませんが、下館駅北口から徒歩5分ほどの所にある下館そばうどんの仁でも提供されています。あの味が恋しくなったらお近くの提供店へLet's Go!
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