EH500形への置き換えと東日本大震災、そして終焉
2000年にJR貨物のED75形の置き換え用としてEH500形電気機関車の量産が始まりますが、貨物列車は依然としてJR東北本線では黒磯駅でED75形から直流専用のEF65形電気機関車などへ、JR常磐線でも水戸駅で交直両用のEF81形電気機関車への付け替え作業が行われていました。しかし2009年3月には黒磯口での運用が終了し、2010年3月には水戸口も3往復の貨物列車を残すのみとなりました。この頃からJR常磐線でもEH500形の試運転が始まり、いよいよED75形も終わりかとささやかれ始めました。そして2011年3月11日を迎えます。
東日本大震災においては、沿線火災の影響で約40分の遅れで浜吉田駅を通過した札幌貨物ターミナル発隅田川行きの92レが山下−浜吉田(日暮里基点327km384m)で緊急停車しました。このときの牽引機だったED75形ラストナンバーの1039号機は15時05分ごろに津波にのまれるも、辛うじて線路上に踏みとどまり機関士1名の命を守りました。詳細はJTSB 運輸安全委員会の鉄道事故調査報告書で閲覧が可能です(鉄道の報告書検索から、キーワード検索で「常磐線 浜吉田」で検索)
津波で流された貨物の一部が支援物資に当てられるなど、1039号機の功績をたたえるために保存などの話もあったそうですが、海水に浸かってしまったことなどもあり11月に現地解体となりました。
このほか、114号機が水戸駅に取り残されましたが、震災から半年後の9月下旬にEF510形に牽引されてJR東北本線経由で仙台へと戻って行きました。
震災以降、JR貨物のED75形は仙台地区で細々と運転されるも、2012年3月で全ての運用が終了。最後まで仙台鉄道総合部に残った100番代4両と1000番代3両は同年6月までに全車が解体されました。JR貨物の機体は残ってませんが、国鉄が北海道に唯一投入した501号機が小樽市総合博物館に、JR東日本の775号機が鉄道博物館に収蔵されています。
※小樽総合博物館に展示されていた501号機はPCB処理作業により完全に解体される予定でしたが、保存される方針です。なお、公開の再開は2025年度以降の予定です。