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もし、あなたの目の前でトラブルが起きた場合、迅速に対処できる自身はありますか?
少しでも心構えがあれば落ち着いて行動できると思います。もしもの時に備え、ご一読ください。

2001年1月にJR山手線新大久保駅で発生した悲運な転落事故を受け、非常停止ボタンの設置が進められました。
現在ではホームドアの設置も進んでいますが、まだまだ中途な上に全て駅にホームドアが設置されるわけではありません。目の前を歩いていた人が誤って線路に転落してしまった際、いかに冷静に対応できるかが焦点となります。是非、非常停止ボタンについて知っていただき、もしもの時に備えてください。

設置場所
主要路線の駅であれば、駅のホームの柱や壁に等間隔で設置されています。しかし残念なことに、JR水戸線には小山駅と友部駅にしかありません。それでも存在さえ覚えてくれれば幸いです。
設置されている柱には、赤と白で色塗りされた「非常停止ボタン」と書かれた看板が取り付けてあります。その柱に取り付けられた黄色い箱が非常停止ボタンです。看板は鉄道会社によって若干デザインは異なりますが、非常停止ボタンは黄色で統一されているので分かると思います。
ホームボタン1


いつ押すの? すぐでしょ!
ホームに人が落ちたのを見たら、すぐに非常停止ボタンを押してください。列車が来るまでになんとかなるだろうと非常停止ボタンを押さないでいて、いざ接近放送が鳴ったときに押しても列車が止まりきれず死亡事故に繋がる恐れがあります。なのでホームに人が落ちたらすぐに非常停止ボタンを押してください。ただし駅によっては非常停止ボタンは高い位置にあるため、子どもや背の低い方は届かない場合があります。そのときは周囲に人がいれば声を掛け、非常停止ボタンを押してもらってください。なお、非常停止ボタンを押した後はむやみに線路に降りず、駅係員が来るまで待ってください。
ホームボタン2


列車の特性を知る
列車事故でよく見聞きする「運転士がブレーキをかけたが間に合わなかった」ですが、15両編成が停車できるような駅であれば、ホーム先端で90km/h、ホーム中ほどでも50km/hで進入してきます。車なら急ブレーキをかければ50メートル以内に止まれるかも知れない距離ですが、摩擦係数が極端に低い鉄道車両は停車するのに100メートルちかく掛かってしまいます。列車が見えてからの行動では遅すぎます。


もし非常停止ボタンがなかったら
もし非常停止ボタンのない駅で転落した人を見かけたら、ひとつの手段として次の方法を実践してください。

1.列車がすぐ来るかどうか確認し、迫っているならばホーム先端へ行き、上着を脱いで振るなどして列車の運転士に異常を知らせます。周りに人がいるようならば、駅員を呼びに行くよう声を掛けます(指示してあげないと傍観している人もいるので、協力をお願いします)


2.転落した人に声を掛けて、大怪我をしていたり意識を失っていないか確認します。軽傷であれば素人でも救助は容易いかもしれませんが、重症だと下手に動かすことはできません。


3.いかなる理由であっても線路内に立ち入ることは許されませんが、やむを得ず線路に降りた場合、まずホーム下に退避スペースがあるかを確認します。退避スペースがあればそこへ逃げ込み、列車が運転を見合わせて完全に運行が止まるまで待ちます。退避スペースが無い場合、無理にホームに上がろうとせず、ひたすら列車が来る方向の逆へ逃げてください。複線もしくは交換駅の場合、反対側の線路に逃げるのは最も危険です。


落ちた人を見殺しにするわけにもいきませんが、安全が確保できなければ自分自身が危険に晒される事も忘れずに。


その他
列車へ乗り遅れそうになったり、同行者が乗り過ごしてそのまま列車に乗って行ってしまったなどで、故意に非常停止ボタンを押して列車を止める輩が稀にいるそうです。本来の目的と違う使い方をすると、列車じゃなくてパトカーに乗って所轄の警察署へ行くことになるので、絶対に間違った使い方はしないでください。また、駅員を呼び出すボタンと勘違いしてホーム上での些細なトラブルでも押してしまう人がいるようです。列車が来ると危ない、発車してしまうと危ないといった人命に関わる状況の時にだけ非常停止ボタンを押してください。線路に物を落としてしまった場合は、自分で拾いに行かず、必ず駅員を呼びに行って拾ってもらってください。


自動車の運転免許を取得するに当たり、踏切でトラブルが起きたときの対処を学ぶことが教習時に義務付けられています。しかしながら学ぶのは1度きり。そういう機会に遭遇することも滅多に無いのでいざというとき焦って戸惑うかもしれません。是非、非常ボタンについて知っていただき、もしもの時に備えてください。

設置場所
元から非常ボタンが設置されている踏切では警報機の下部に取り付けてあるパターンが多いですが、新しく設置された踏切では警報機の脇に単独で設置されているものもあります。しかし設置してある場所はすべて踏切周辺です。近年では分かりやすく「SOS・非常ボタン」と書かれたステッカーや看板が設置されています。
踏切ボタン1


いつ押すの? すぐでしょ!
踏切でトラブル(車の脱輪、エンスト、衝突事故や踏切自体の故障など)が起きた場合すぐに非常ボタンを押してください。警報機が作動するまでになんとかなるだろうと非常ボタンを押さないでいて、いざ警報機が作動したときに押しても列車が止まりきれず重大な事故に繋がる恐れがあります。なのでトラブルが起きたらすぐに非常ボタンを押してください。なお、ボタンを押した後は非常ボタンの近くに通報先が書かれた看板等が付いていますので、必ずそこへ連絡してください。

近年はお年寄りが踏切で転倒したり、渡りきれずに取り残されて列車にひかれて死亡するという痛ましい事故が増えています。警報機が作動していないときであれば、焦ることも無くなんとか助け出すこともできるかと思いますが、すでに警報機が作動している、もしくは救出中に警報機が作動してしまったら、まず第一に非常ボタンを押してください。そうすることで自分自身の命を守れるますし、運転士が異変に気付いてブレーキを作動させ、減速している間に取り残された人を救出できる時間を少しでも稼げるかもしません。ただし遮断機の降りている踏切に入ることは、法律上禁止されています。踏切で何かあったら、躊躇無く非常ボタンを押せる心構えでいてください。
踏切ボタン2


列車の特性を知る
列車事故でよく見聞きする「運転士がブレーキをかけたが間に合わなかった」ですが、列車は単線で60〜95km/h、複線で70〜最大130km/h(JR常磐線、TX)で走る上に、摩擦係数を抑えている為、100km/hから非常ブレーキをかけて完全に止まるまで200メートル程度かかります。列車が見えてからの対応では遅すぎるます。


もし非常ボタンがなかったら
もし非常ボタンのない踏切でトラブルが発生したら、次の方法を実践してください(自動車教習所で習うものと同じ内容)

1.列車がどちらから来るか視認します。
2.線路脇を列車のほうへ向かって走ります。間違っても線路内は走らないでください。轢かれて死にます。
3.踏切から30〜50mほどの地点で安全な場所を確保して、着ている服を旗代わりにしたり、大きく手を振って異常を知らせます。

非常ボタンがなくてどうしようもないなどと諦めないでください。


その他
非常ボタンを押さなかったがために列車と衝突するなどの重大事故になってしまった場合は、鉄道会社より相当の損害賠償を求められます。また、いたずら目的で非常停止ボタンを押した場合は刑法で処罰されます。目的以外にみだりに押さないでください。


茨城県内では踏切事故が多発、しかも後を絶たないため、車両を運転される方はご一読ください。

踏切前では一旦停止
車両(自転車を除く)の免許を取得するに当たり、教習所で講習や実技を受けますが、近辺に踏切が無くとも教習所内には仮設の踏切が設置され、一時停止の訓練を受けているかと思います。踏切には止まれの標識はありませんが、同様の効力があり、無視して通行すると一時停止義務違反の罰則を受けます。
一時停止の定義は実はあいまいですが、車両が完全に止まって左右を確認してから発進すれば問題は無いと言われています。オートマチック車において、一時停止したつもりでもブレーキが甘くてそのまま動いている状態で踏切に進入すると、「徐行」もしくは「最徐行」と判断され、一時停止義務違反となります。よく大型車がスピードを落とすのを嫌がるため、一時停止せず徐行で踏切内へ進入するケースが見られますが、最近はシフトチェンジの必要が無いはずのオートマチック車で一時停止せず踏切に進入する乗用車が増えています。

自転車も車両に定義されるため、踏切の前で一旦停止しましょう。無視すると、車と同様の罰則を受ける場合があります。

※栃木県小山市には高岳貨物線と呼ばれる貨物専用線があり、貨物列車の運行は半年に1回程度となっているため、ほとんどの踏切に踏切信号機が設置され、一時停止の必要が無いよう青信号が点灯しています。ただし踏切信号機が設置されていない踏切では一時停止が必要です。キチンと守りましょう。



車両の通行が制限される踏切
茨城県内には冬季の豪雪により通行止め(使用中止)となる踏切はありませんが、小型特殊のみ(バイク・自転車含む)が通行可能な踏切が数多くあります。小型特殊とは小さいユンボ等の小型作業車や、テーラーやコンバインなどの農耕機のことで、18歳になってから取得できる普通運転免許で運転できる乗用車、軽乗用車は含まれません。
筑西市菅谷にある真岡鐵道の玉戸踏切と、筑西市成田にあるJR水戸線の直井踏切は、特に違反する者が多くなっています。
踏切1 踏切2


第4種踏切
踏切には全部で4種類あり、警報機と遮断機が付いた第1種、警報機と遮断機がついているけど人が操作する第2種、警報機のみ付いている第3種、そして標識だけ(遮断機も警報機も無い)の第4種に分けられます。特に第4種踏切については、のどかな田園地帯が広がる関東鉄道常総線、里山や山村が続くJR水郡線に多く見られます。このうち関東鉄道常総線については毎年のように事故が発生し、国からの指導も度々受けきましたが、事故の大半は踏切を渡る側の過失であることを疑い、他人事だと思わず自らも気をつけて踏切を渡る必要があります。

車で第4種踏切を渡る際、一時停止は絶対やるべきことですが、さらに窓を閉めている場合は窓を開けて列車の接近を耳で聞き取り、左右の確認を目で確かめてから渡る必要があります(ほとんどの教習所において、第1種踏切でも一時停止後に窓を開けて音を確認するよう指導しているはずです)
特にバイクは風きり音で周囲の音が聞こえづらくなるので、必ず一時停止して耳と目で列車の有無を確認しましょう。


安全確認は怠るな
関東鉄道常総線で起こった警報機も遮断機もない第4種踏切での列車と乗用車の接触事故を一例に上げますが、事故を起こした乗用車の目撃情報として、車外にまで響き渡る大音量で音楽を流していたという情報がありました。耳での列車の接近を確認しようとしなかったため、重大な事故に繋がったものと考えられます。


荷台大丈夫ですか?
JR水戸線で起こったユニック車と高さ制限のワイヤー(スパン線)の接触事故を一例に上げますが、事故を起こしたユニック車はクレーンを上げたまま走行し、踏切の高さ制限を示すワイヤーに引っ掛かって横転しました。大型トラックや特大の荷物を積んだトレーラーが、高さ制限を見誤って高架下に突っ込む事故は多々ありますが、同様にダンプの荷台やユニックのクレーンが上がっているのに気づかないまま、踏切に突っ込む事故も度々発生しています。特に採石場や石屋の多いJR水戸線沿線では、こういった類の事故には十分気をつける必要があります。
なお、JR水戸線、JR常磐線(藤代以北)ともに架線には20,000ボルトの電圧が流れています。切断された架線が車に絡まった状態で車内に出ようとすると感電死します(実際に同じ20,000ボルトの電圧が流れる九州での事故で、感電した人が2メートル以上吹っ飛ばされた事例があります)


損害賠償
JR常磐線で起こった小型特殊のみ通行可能な踏切での列車と乗用車の接触事故を一例に上げますが、夕方6時過ぎに発生したこの事故は列車損壊、踏切設備全損などが重なり、3時間以上も運転を見合わせて帰宅ラッシュを混乱させました。ましてや本来は乗用車の通行が禁止されている踏切での事故と言うこともあり、ドライバーへの損害賠償は免れません。内訳は衝突させて壊した電車の修理費(2両分)、全損させた踏切設備の修理費、そして帰宅ラッシュのJR常磐線を3時間以上も止めた事による特急券払い戻しの全額負担と諸経費で、賠償金の総額は1億円ほどと言われています。


若者の傍若無人な運転、高齢者の判断の低下による事故の誘発など原因は様々ですが、車を運転する以上、法は守りましょう。ただしどれだけ気をつけていても車の不具合などで立ち往生してしまう場合もあります。その際は非常ボタンを押してください。
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