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貨物線を介して川島駅と日本コンクリート工業川島工場を結んでいた専用線がありました。最盛期のパイル線、サイロ線、ポール線については以下に紹介するように見ることができますが、黎明期に駅構内にあったコンクリート線は、後に下り第四場内になったようです。このページでは日本コンクリート工業の専用線に加え、貨物線についても紹介します。
専用線自体の廃止日は不明ですが、JR八高線寄居駅からのセメント輸送は1997年3月20日で終了しています。

川島駅構内(パイル線)
  • 日本コンクリート工業1
  • 専用線に繋がる貨物線はJR貨物の所有で、川島駅構内にゼロキロポストがあります。その貨物線から枝分かれするように、パイル線、サイロ線、ポール線と材料別に3つに分かれていました。
    駅構内からは、架線柱の残る本線と下り第十一場内、パイル線があった部分を見ることができます。すべて電化されていたので架線柱と架線ビームの幅も広かったようですが、その後縮小されて現在の形になっています。パイル線に関しては末端は電化されていなかったようで、架線柱の右側にありました。
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関本街道踏切(貨物線0K336M)
  • 日本コンクリート工業2
  • 駅を出て西側にあるJR水戸線の関本街道踏切を渡り、筑西市役所川島出張所の門を過ぎると貨物線の関本街道踏切跡があります。そこから駅側を見ると、貨物線と下り第十一場内(左側の一段高くなっている部分)が見れます。下り第十一場内は踏切の手前が末端で、踏切跡との間には設備も残されています。また、綺麗に草刈されていると線路を見ることもできます。パイル線は左側のフェンスが切れている辺りの先(工場敷地の端)が末端です。フェンス脇の道は市道なので通ることは可能ですが、一番末端に近い場所でも庭木などでよくは見えません。なので川島出張所からの方が良く見えると思います。
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  • 日本コンクリート工業3
  • 工場側にも架線柱と架線が残っていましたが、2021年2月に撤去作業が行われて更地になっています。急な撤去作業に廃線マニアの方たちも驚きを隠せませんでしたが、管理者がJR貨物から筑西市に移っていて、ここから現在工事が進む堤防の上を走る道に繋がる可能性もゼロではないので、「歩ける廃線跡」に変わることを期待したいです。
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  • 日本コンクリート工業4
  • 写真、補足画像ともに2013年5月に撮影。左の住宅の影になっている所にスプリングポイントがあり、現役当時はそこから工場の方へ2本のサイロ線が分岐していました。廃線後、サイロ線のあった場所は工場の敷地として整備されましたが、分岐場所だったことを示すスプリングポイントは残されていました。
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バイク販売店の裏(サイロ線)
  • 日本コンクリート工業5
  • 写真は2013年5月にバイク販売店とソーラー発電所の間で撮影。工場敷地内のコンクリートで舗装された部分がサイロ線跡で、その奥に見えるブルーシートの先にも線路は伸びていました。また、舗装された部分から東(現在の資材センター受付)の方へ30mほどの引込み線も延びていたそうですが、この線路については詳しいことは不明です。
    廃線から10年程度(2007年ごろまで)は、廃線跡を見に行くと日本コンクリート工業の警備員が近づいてきて、工場内には入らないようになどと監視されたという逸話がありましたが、私が見に行った時にはそんなことはありませんでした。最近は防犯カメラの設置により、警備員の巡回は最低限になっているようです。
  • 日本コンクリート工業6
  • 同じく2013年5月に撮影した写真。当時はソーラー発電所の脇を通り抜けることができ、道なりに河川敷へと向かっていた途中で撮影したものです。堂々と見える架線柱の後ろの茂みの中にサイロ線の末端がありました。貨物線の撤去工事もこの辺りまで行われたようです。なお、茂みの部分は貨物線が撤去されるより前に綺麗に整備されて資材置き場になっているのがgoogleマップの航空写真で確認できます。
    現在、この場所に立ち入ることはできませんが、鬼怒川の堤防工事が完成して上を歩けるようになると、容易に見ることができそうです(堤防と舗装工事は終了していますが、立入禁止となっています)
鬼怒緑地公園の南側(サイロ線)
  • 日本コンクリート工業7
  • 現在、この写真を撮った場所は国道50号新川島橋の4車線化工事に伴う資材輸送道路となっているため、立ち入りできません。なお、この場所を紹介する上で障害となっていた高さ5mほどの堤防のような盛り土ですが、正式に堤防となり、完成後はその上を歩けるようになります(現在も立入禁止)
    写真は立ち入り禁止になる前の2013年5月に撮影。後ろに写っている茂みの部分がサイロ線の末端に近かったところです。盛り土の上に登ればもっと広い範囲を見渡せたかもしれませんが、軽装で登るには傾斜がきつかったり草ボーボーだったりしたので断念しました。ちなみに盛り土の北側では貨物線との間に個人の畑(不法占拠?)が点在していますが、南側は荒地となっているので入るのは無謀です。
鬼怒緑地公園の北側(ポール線)
  • 日本コンクリート工業8
  • この場所についても、堤防工事のため立入禁止となっています。工事が終わって上を歩けるようになると見ることはできると思われますが、ここまで近づけるかは不明です。
    写真の建物は日本コンクリート工業の中で一番北西にある建物で、向かって右側の茂みが貨物線の末端、左側にポール線が伸びていましたが、ポール線の跡地は畑となっています。こういった土地は元から畑ならば端が鋭角になっていることが多いですが、線路跡を削って畑を拡張したと思われるので角がほぼ直角になっています。ポール線は昭和50年代から昭和60年代初頭までの約10年間と短命だったようです。ちなみに、貨物線の方に見える茂みの中には「ヌシ」が眠っています。
    ポール線は建物北側のフェンスがある辺りまで延びていました。フェンスがない部分からはポール線の名称の由来ともなった電柱置き場が見えます。
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調査日:2013年5月12日
2018年3月25日
2021年2月11日
2023年8月24日(記事修正)

※撮影は駅のホーム、車道、運動公園からです(バイク販売店の裏は私有地の可能性があります)

※施設名を日本コンクリート工業川島工場と紹介していますが、2023年7月時点で川島駅に隣接しているのはNC工基株式会社 下館出張所、貨物線に隣接しているのはNC東日本コンクリート工業株式会社 川島第四工場となっています(いずれも日本コンクリート工業株式会社に属する企業です)



詳しい地図はこちらをご覧ください(川島駅周辺の廃線をひとつの地図に集約し、線区別にレイヤーを分けてあります)
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