ホーム > 特集 > 廃線めぐり > 鬼怒川橋梁

水戸鉄道が開業した当初の鬼怒川橋梁は、1938年9月1日に関東地方に甚大な被害を及ぼした台風による洪水で流失してしまいました。被災から80年以上経った今でもその一部が残されていますが、当時の文献などはほとんど無いため、ここを知る廃線マニアも少ないと思います。
残った橋の一部の風化も懸念されますが、近年は2017年9月10日の台風18号(平成27年関東・東北豪雨)の被害による治水対策として大規模な護岸工事が行われていて、遺構がどう扱われるかも気がかりなところです。

第二中川原踏切(水戸線9K386M)
  • 鬼怒川橋梁1
  • 鬼怒川橋梁なら川島駅の方が近いと思われますが、まずは東結城駅から東へ1.5km、徒歩20分ほどの第二中川原踏切へ。踏切から東結城駅の方をみると、線路がカーブしているのが分かります。元々直線だったものが、橋梁の流出によって代わりの橋(現在の鬼怒川橋梁)の方に線路が移設されました。見た目に相違はほとんどありませんが、架線柱の立っている方と地上ケーブルがある方を見比べると、線路のあった架線柱の方が幾分高くなっているようにも思えます。
  • 鬼怒川橋梁2
  • 踏切の北側から川島駅の方を見ると、超小型飛行機の資材置き場と線路の間に段差があり、そこが線路跡であることがよく分かります(写真準備中です)
    さらに踏切内から川島駅の方を見てみると、鬼怒川の土手の手前で線路が曲がっているのが見えます。旧鬼怒川橋梁は川島駅の旧3番線にまっすぐ繋がっていたようですが、川島駅の位置をずらさず線路と橋梁を移設した結果の副産物といえます。しかしそうなると、旧鬼怒川橋梁流失前の川島駅って今の2番線と旧3番線の島式ホームだったんですかね。
    画像2-1
鬼怒川右岸(西岸)
  • 鬼怒川橋梁3
  • 筑西遊湯館の東にある鬼怒川右岸の土手を北に向かって歩き、線路で行き止まりになっているところから東結城駅の方を見ると、線路が緩やかなS字になっているのが分かります。線路を移設した様子を一目で見るなら、第二中川原踏切よりもこちらの方が分かりやすいと思います。ただし、線路脇に雑木が生えやすく、状況によっては草木で見えない場合があります。また、夏場の土手は雑草で歩き進むのが困難になることがあるので注意してください。
鬼怒川
  • 鬼怒川橋梁4
  • まず、現在は護岸工事および国道50号新川島4車線化橋工事のため、工事区画内に立ち入ることはできません。よりによって立ち入れない場所に橋の一部が残っています。
    写真は2014年4月末に河原から撮影。川の中に作られた橋脚の基礎部分と思われます。河原から見れないのなら電車に乗って見ればいいだけの話で、それが補足画像になります。周囲の土砂の量は明らかに減っていますが、特段の変化は見受けられません。
    画像4-1
  • 鬼怒川橋梁5
  • 鬼怒川左岸の水際には橋脚の根本部分と思われますモノも残っています。撮影したのは上の写真と同じ日です。護岸工事による消失は免れそうですが、風化で無くなってしまう方のが心配です。写真では遺構の周りに杭のようなものも確認できますが、補足画像では完全に埋没もしくは流失しています。
    電車内から見たい場合は、下り列車なら進行方向左側のボックス席(3〜5号車)に座るか、東結城駅を出たらドアの前に立ち、小窓から下を覗き込むようにすると見れます。
    画像5-1
鬼怒川左岸(東岸)
  • 鬼怒川橋梁6
  • 鬼怒川左岸の河原にも1箇所、橋脚の基礎が残っています。こちらも現在は立入禁止となっていますが、護岸工事からは外れた場所なので、多分残っていると思います。初めて訪れた当時、たまたま見つけて草花に埋もれていく様子をイメージして撮ったので、ここに関してはまともな写真がありません。
  • 鬼怒川橋梁7
  • 旧鬼怒川橋梁の一番大きな痕跡は、鬼怒川左岸の土手にある橋けたです。史跡ではないのですが、地元の人が書いたと思われる看板もありました(ボロボロで倒れていたものを撮影のために立て掛けました)
    橋けたの高さをみると、流失前の橋梁は今の半分くらいの高さだったことが分かります。
    写真を撮影した1年後の2010年夏、川島駅のトイレと共に最初の落書き被害にあい、看板も洪水等でいつのまにか流失。護岸工事で立ち入れなくなってもう見ることもできないと思いましたが、付近で堤防の建設工事が行われ、なんと旧鬼怒川橋梁の橋けたがそのまま堤防に取り込まれました。補足画像2枚目の通り、頭を残してブロックで固められていますが、考えようによっては事実上の埋没保存とも言えそうです。工事が終わって堤防の上を歩けるようになったら、一部ながら再び間近で見ることができそうです。
    画像7-1 画像7-2
関本街道踏切(水戸線10K354)
現在調査中...


調査日:2009年7月19日
2014年4月26日
2021年5月30日
2023年8月20日(記事修正)

※撮影は車道、河原(安全な場所)、列車内からです。


詳しい地図はこちらをご覧ください


2023年5月に国道50号川島橋がなくなってしまったため、東結城駅から筑西遊湯館に寄って川島駅まで歩くと、かなりの時間がかかります。
東結城駅〜筑西遊湯館は結城市巡回バス(無料、日曜・祝日とお盆、年末年始は運休)、川島駅〜筑西遊湯館は筑西・下妻広域連携バスの利用をお勧めします。車で訪れる場合、鬼怒川右岸のJR水戸線の下の道は不法投棄警戒のため通行止めとなっているので注意してください。
inserted by FC2 system