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小山短絡線は小山駅を経由せずに東北本線の上野方面と水戸線を直通することができた線路です。小山駅に到着したJR水戸線の列車が上野方面へ行こうとすると進行方向が逆になっています。貨物列車を直通させるとなると機関車を前後に付け替えなければならず面倒でしたが、それを省略する目的で1950年に作られました。最盛期には貨物列車だけにとどまらず急行列車の往来もありましたが、1992年に廃線。2006年には設備が撤去されました。跡地には小山市が公園(遊歩道)を作る計画でいましたが、実現されず住宅地に変わっています。

第二境街道踏切(東北本線79K540M)
  • 短絡線1
  • 小山駅西口から東北新幹線の高架下を南へ15分ほど歩いた第二境街道踏切の上野側に短絡線の始点があります。踏切に柵はありますが、それほど高くないので廃線跡をうかがうことは容易です。
    上野側は設備が撤去されるまでは線路やポイントが残り、進入防止の枕木が置いてありました。何も無い現在ではちょっとした隙間にしか見えません。
  • 短絡線2
  • 結城側の廃線跡と歩道の仕切りはガードパイプなので、難なく中を見ることができます。元々は踏切と廃線跡の間にフェンスはありませんでしたが、廃線跡の一部が民間に売却され始めた2017年冬頃にフェンスが増築されました。おかげで廃線跡がくっきり分かるようになっています。
    フェンスの設置によってガードパイプとの間がガバガバに開いていますが、私有地なので許可無く侵入したりゴミなどを不法に投棄すると処罰されます(補足画像はフェンスが無かった当時に撮影)
    画像2-1
  • 短絡線3
  • 写真は1997年秋ごろにTBC学院小山校(当時は国際テクニカルデザイン専門学校)から「写ルンです」で撮影。丁度真ん中に光のスジが入って見づらいかと思いますが、485系「華」の下、色の異なる畑の間にある線路が小山短絡線です。当時は電柱や架線、踏切設備なども残っていました。今は切り売りされたようで、写っている全ての部分が古紙再生などを手がける坪野谷グループの本社敷地になっているようです(補足画像は造成前に同じ場所を踏切から撮影。車が止まっている側がこげ茶色の畑だった所)
    ※写真は私有地からの撮影ですが、正当な理由で入って撮影したものです。
    画像3-1
三峯1丁目付近(TBC学院小山校の裏)
  • 短絡線5
  • 現地を訪れたときは西日がきつかったのでTBC学院小山校のほう(上野側)は撮影できませんでしたが、ふと足元を見ると枕木が落ちていました。造成した際に出土したものが放置されていたようです。周囲にはバラストも散らばっていますが、廃線跡は隣にあった畑に取り込まれたほか、坪野谷本社との境の一角だけTBC学園小山校の駐車場が拡張されています。
  • 短絡線4
  • 短絡線は駅南の住宅街を緩やかな弧を描いて繋がっていました。先述のとおり、2006年に線路や踏切が撤去されたので、現在は遺構らしいものはほとんど残っていません。それどころか、公園(遊歩道)として整備されるはずが宅地に変貌を遂げています。手前の小屋(ゴミ置き場)と、その奥の平屋建ての建物が結城側の廃線跡になります。さすがにこうなるとは予想外でした。
    この場所の変調に気付いたのは2019年初め。何気なくgoogleマップを見ていたら、建物を作ってる様子が写っていました。すぐさま調べると2018年夏ごろから建築工事が始まっていたようです。
三峯2丁目付近(三峯神社付近)
  • 小山短絡線6
  • 宅地に変わったのはTBC学院小山校の裏から三峯神社付近にかけての105メートルほど。建物の名前から察するに不動産業者が建てた一軒家の借家のようです。すでに住んでいる方もいらっしゃるようなので、プライバシーの保護などにより写真を撮るわけにはいきません。

    一方の結城側は2019年4月に訪れた時は写真の通りまだ手付かずの状態でしたが、現在は宅地になっています。住民に配慮してこれ以上の現地調査は行いません。ストリートビューで確認してみてください。
三峯2丁目付近(三峯2号公園付近)
  • 小山短絡線7
  • この辺りは閑静な住宅街です。列車が往来していた当時は住宅地の間に畑が点在するのどかなところだったようです。なお、この辺りだけ線路跡が周囲より1段高くなっていますが、理由は分かりません。

    写真は2016年2月に撮影。現在は宅地に変わっているため以後の現地調査は行いません。
  • 小山短絡線8
  • 廃線跡はくまなく見てみたつもりですが、まったくもって線路があった痕跡がありません。そんな中、ようやくそれっぽいモノを発見。近づいて見てみると小山都市瓦斯(現在の北日本ガス)が埋めたガス管の標識でした…。まだ列車が頻繁に往来していた時に設置されたようです。
    この標識も現在は撤去されていますが、さすがにガス管本線の上に住宅は建たないと思います。
    ※その後宅地になりましたが、ガス管の真上は庭になっているようです。
水戸線接続部分
  • 小山短絡線9
  • JR東日本から借り受けていたのか、近隣住民が勝手にやっていたのかは分かりませんが、この辺りは花壇と化している部分が多くありました。写真の花壇があった場所も現在は個人宅となっているほか、家の前が廃線跡だったお宅では土地を買い取って庭にしているところも多くあるようです。三峰1丁目付近から三峰神社までが大和ハウス工業の借家なのに対し、こちら側は個人向けに売られたようです。

    写真は2016年2月に撮影。現在は宅地に変わっているため以後の現地調査は行いません。
  • 小山短絡線10
  • 水戸線を跨ぐ県道339号線の陸橋に上がると、小山短絡線と水戸線が分岐していた地点をよく見ることができます。JR水戸線との接続部分は、線路が残っていた当時はポイントも残っていました。
    廃線跡が切り売りされるのに先立って、左側の架線柱の先には軽乗用車が3台ほど止められるスペースが舗装されて確保されていました。ロープが張ってあって中に入ることはできませんが、線路側のフェンスに門扉があることから、軌陸車などの搬入口だと思われます。
    ここからJR水戸線の線路沿いを新幹線の高架に向かって歩けば10分ほどで小山駅に戻れます。
小山短絡線中線
  • 写真無し
  • 小山短絡線は廃線マニアの間では有名な場所ですが、小山短絡線中線となるとなかなか知られていないと思います。現に、付近には痕跡は一切残っていないので、廃線跡を探し出すのに一苦労しています。
    中線は短絡線の始点がある東北本線の第二境街道踏切から、上野側へ800mほどのところにあった行人塚踏切の間にあったそうです。当時の資料と現在の立地条件を合わせると、今のJR東北本線の下り本線が中線に該当し、下り本線だった部分は東北新幹線の建設工事の際に土地が転用されたと思われます。引き続き、詳しく調査していきたいと思います。
調査日:2016年2月27日
2018年12月8日
2019年4月6日
2019年8月15日
2021年6月13日(記事修正)
2023年8月19日(記事修正)

※撮影は歩道および車道からです。


詳しい地図はこちらをご覧ください(短絡線・中線でレイヤーを分けてあります)
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