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  • 交直両用車にも次世代車両が登場
    E531系は403系・415系鋼製車の後継機として2005年3月に登場した近郊形車両です。
    4ドアなので通勤型だと思われますが、首都圏の近郊路線で広く活躍するE231系やE233系の親戚に当たるE531系は次世代近郊型に分類されています。最高速度は130km/hで、在来線の普通列車としては日本一の速さを誇ります。

    投入数は10両固定の基本編成22本と5両固定の付属編成14本(計290両)を投入予定でしたが、途中で計画が変更になり、このうち基本編成の付随車44両(各編成の4号車と5号車)が2階建てグリーン車に変更され、さらに付属編成が2本追加され16本(計300両)となりました。
    2010年8月にはE501系基本編成の改良工事に伴う予備車として付属編成を2本増備。2014年には上野東京ラインの開業にあわせて基本編成を1本、415系1500番代の置き換え用に付属編成が7本増備されました。さらに、2015年から2017年にかけてJR水戸線、JR東北本線向けとなる寒冷地仕様の3000番代が7本新造され、総数は計390両となりました。増備ままだまだ続き、2017年10月の上野東京ライン増発に向けて基本編成を3本、付属編成を2本増備したほか、東日本大震災の影響で不通となっていた区間の運転再開にあわせて付属編成が6本増備され、総数460両の大所帯となりました。
    2022年に事故廃車が発生して459両になりましたが、2024年に新造されて460両に戻っています。
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  • 車内設備
    列車は品川・小山寄りが1号車、原ノ町寄りが10号車(付属編成は5号車)で、座席は基本編成は1・2・9・10号車がセミクロスシート、3・6〜8号車がロングシートですが、K412編成〜K422編成はグリーン車組み込みの過程で9号車もロングシートになっています。
    4・5号車はグリーン車です。乗車するには乗車券のほか、普通列車グリーン券が必要となります。
    付属編成は1・2号車がロングシート、3〜5号車はセミクロスシートで、グリーン車はありません。
    JR東北線内は編成の向きが変わるため、黒磯寄りが1号車、白河寄りが5号車で、座席は1〜3号車がセミクロスシート、4・5号車がロングシートとなります。座席とつり革をあわせた定員は基本編成が1,304人、付属編成が680人です。
    ※付属編成は品川−土浦では11〜15号車と案内されます。

    トイレは基本編成が1号車、5号車、10号車、付属編成は1号車に設置されています。5号車はグリーン車なので、主な駅の発車後に流れる車内放送では案内されないことがあります。なお、すべてのトイレで車椅子対応となっています。
    ※JR東北本線内は編成の向きが逆になるため、トイレは5号車になります。

    車椅子・ベビーカースペースは1号車と10号車(付属編成は1号車と5号車)にあります。優先席は各車両とも品川寄り(小山寄り)で、JR東北本線内は白河寄りになりますが、トイレのある車両はトイレ近くの座席となっています。優先席付近のつり革は黄色になってるほか、座席自体の色も違うので見た目で違いが分かります。

    ドア上の電光掲示板は2段表示になったため、上段に行き先や次の停車駅、到着時に駅名を表示し、下段は停車駅で開くドアの方向やJR東日本からのお知らせ、運行障害発生時には運行情報が流れます。ドアは開閉時にチャイムが流れるほか、上部に開閉警告ランプもついています。なお、土浦以北とJR水戸線、JR東北本線では駅に着いてもドアは自動では開かず、ドア右側にあるボタンを押して乗客自らがドアを開閉をするようになっています。
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  • 現在の運用
    基本編成は品川−高萩で運転されていますが、データイムは品川−土浦でのみ運転されています。
    付属編成は品川−土浦で基本編成に増結して運転されるほか、土浦−原ノ町では単独運転を行っています。また、夜間のみながら水戸−いわきでは2本繋げた10両編成での運転もあります。JR水戸線とJR東北本線の黒磯−新白河も単独運転で、JR東北本線は3000番代の限定運用となっています。
    なお、付属編成の単独運転はいずれの線区でもワンマン運転を実施しています。

    E501系のページでも触れていますが、E501系の基本編成が定期点検や故障等で運転できない場合、E531系の付属編成で10両組んだものか基本編成で代走することがあります。
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  • これまでの運用
    導入当初は上野−四ツ倉とJR水戸線での運転が計画されていましたが、まずは2005年7月からJR常磐線の上野−土浦に新規設定された特別快速を中心に運転を開始します。JR水戸線では2006年8月26日から翌年3月17日まで、暫定運用として期間限定で運転されました。この期間中、一部の基本編成で普通列車グリーン車を連結して上野−いわきで運転を開始し、お試し期間ということで追加料金無しで乗車できました。そして2007年3月のダイヤ改正よりグリーンアテンダントが乗務して本格的な営業を開始し、運転区間も上野−高萩となりました。
    2015年3月のダイヤ改正で上野東京ラインが開業すると南は品川駅まで乗り入れるようになります。2017年10月のダイヤ改正では大津港行きの下り最終列車が基本編成に置き換わり運用範囲を広げましたが、2019年3月のダイヤ改正で運用は消滅し、再び運転区間は品川−高萩となっています。
    2022年3月のダイヤ改正ではコロナ禍でJR発足以来最大の減便となり、データイムの土浦−水戸は全て付属編成による単独運転に変わりました。

    付属編成は上野−土浦で基本編成に増結して運転され、日に4本ながら土浦−勝田を付属編成のみで運転する列車も設定されました。また、JR水戸線では臨時快速列車や415系1500番代、E501系の代走に就くこともありましたが、2014年12月より定期運用を開始します。
    2016年3月のダイヤ改正で415系1500番代が引退すると、水戸−竜田でもE531系付属編成による運転が始まります。一方でJR水戸線でのデータイムの運用が消滅しますが、2017年10月のダイヤ改正で復活。2018年8月26日にはE501系の度重なる故障によって、急遽、JR水戸線の全ての普通列車がE531系付属編成に置き換わりました。そして2020年3月にJR常磐線が全線で運転を再開し、原ノ町まで乗り入れるようになりました。

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  • 3000番代の運用と都市型ワンマンについて
    2015年12月から0番代に混じってJR水戸線やJR常磐線・上野東京ラインの運用に就きますが、2017年10月のダイヤ改正より本来の用途であるJR東北本線の黒磯−新白河で運転を開始します。なお、夜間に白河駅で停泊する運用があり、翌朝に白河駅始発となる上り列車があります。
    2020年3月のダイヤ改正で黒磯−新白河は全てE531系3000番代に統一され、あわせてワンマン運転が始まりました。2021年3月のダイヤ改正でJR水戸線でもワンマン運転が始まると、その運用にも就くようになります。一方で、友部以南への乗り入れは無くなりました。
    2023年3月のダイヤ改正で水戸−いわきでもワンマン運転が始まった際、土浦−勝田にもワンマン対応車両の運用ができたため、土浦駅までの乗り入れも復活しています。

    ここでいうワンマン運転とは都市型ワンマン運転の事で、運転士は乗車券や定期券の確認、運賃の精算は行わない信用乗車方式(乗客がきっぷ類を正しく購入していると認識)のことです。JR東北本線ではSuicaの未対応エリアとなるため、きっぷが無い場合は駅に備え付けの運賃箱に現金を直接入れます。土浦−原ノ町とJR水戸線ではSuicaの利用を促していますが、JR水戸線ではきっぷを持たずに無人駅と無人駅を行き来した時は、駅員のいる駅へ行って運賃を払うように案内しています。

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  • 改造など
    時代の変化にあわせて追々、様々な改造が施されることになりますが、最初の改造はグリーン車連結に伴う組み換えの際、サハE530形が1両足りず、余剰のサハE531-2012がサハE530-2022に改造されたことに始まります。

    K406編成が2017年3月に郡山総合車両センターへ入場した際、線路モニタリング装置が設置されました。これは線路の歪みや傷などを営業運転中に記録できるもので、E491系(East i-E)の負担軽減と異常の早期発見を目的に各線区で導入されています。2019年4月にはK411編成にも設置されました。付属編成も時期は不明ですがK478編成とK479編成に設置されています。3000番代では2020年9月にK555編成に取り付けられています。

    都市型ワンマン関連では、まず初めにK553編成が2018年4月に郡山総合車両センターへ入場した際にホームモニターが設置されました。装置は乗務員が運転席にいながら乗客が乗り降りする様子を確認できるもので、1年ほどJR東北本線の黒磯−新白河で試験運用を実施。2020年1月までに全ての3000番代にワンマン改造工事が施されされました。この改造ではホーム検知器も設置されています。これはオーバーラン等でホームの無い位置に誤って停車した場合、転落防止のためドアが開かない仕組みとなっています。なお、従来のワンマン車両と違い、整理券発行機や運賃箱、運賃表示機といった設備はありませんが、避難用はしごが車内に新設されています。
    JR水戸線でもワンマン運転が始まるのにあわせ、2020年度中に付属編成7本にもワンマン改造工事が施されました。その後もワンマン運転区間の拡大によって改造工事も進み、2024年3月のダイヤ改正で付属編成が単独運行する全ての線区で都市型ワンマン運転が始まるのにあわせ、全ての付属編成に改造工事が施されました。

    初期車は製造から15年以上が経過していることもあり、2006年までに落成された車両を対象に、基本編成は2020年から、付属編成は2021年から機器更新を実施しました。これは2015年頃には決まっていたもので、製造から16年程度で機器更新し、車両寿命を32〜40年とするためだそうです。


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  • 2階建ての普通列車グリーン車の組み込みについて
    導入計画ではJR常磐線には2階建ての普通列車グリーン車は組み込まれる予定はありませんでしたが、製造途中での仕様変更ということで編成による差異も少なからず出ています。
    K407編成〜K411編成は組み換えを考慮して、サハE530形2000番代が多めの10両編成で落成され、K412編成〜K422編成については4・5・6・9号車を抜いた6両編成で落成されています。
    組み換えはK401編成〜K411編成はそのまま4・5号車をグリーン車に差し替え、K412編成以降は6号車にK407編成〜K411編成のサハE530形2000番代を、9号車にK401編成〜K407編成のサハE531形2000番代を組み込みました。このサハE531形2000番代というのがロングシート車両で、結果としてK411編成以前とK412編成以降で9号車の座席配置に差異が出てしまいました。また、捻出されたサハE531形は12両、サハE530形は10両と数が揃わず、前述のとおりサハE531-2012がサハE530-2022に改造されました。
    後に登場するK423編成からは、9号車は再びセミクロスシートになっています。

    普通列車グリーン車のサロE531形については編成番号と車番が揃っていないように見えますが、これは組成順となっているため、どの編成からグリーン車を組み込んだかを知ることができます。組成はK410編成を除き、郡山総合車両センターで実施されました。K423編成以降は最初から連結されている状態で落成されているため、通し番号となっています。
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  • 赤電の登場
    勝田車両センター開所60年を記念して、開所当時から1985年まで401系や403・415系の塗色だった赤電が復刻しました。期間は2021年11月〜2023年3月だったものの、2023年秋の茨城デスティネーションキャンペーンの開催や、それに合わせてE657系にもフレッシュひたちのリバイバルカラーが施されたことから、終了は2026年度初めまでと大幅に延長されました。赤電にラッピングされたのはK451編成で、主に水戸−原ノ町とJR水戸線で運転され、上野東京ラインへの乗り入れは数回しかありませんでした。そのため、ラッピングの期間延長が発表されたタイミングでK423編成にも施され、これでほぼ毎日、上野東京ラインでも見れるようになっています。運がよければK423編成とK451編成が連結した赤電15両編成も見れるかもしれませんが、その確率は1%以下といわれています。
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  • 今後の動向
    E501系の今後の動向でも触れましたが、勝田車両センターの車両はE531系で統一される可能性があります。現行のままE531系基本編成で置き換えることも可能でしょうが、高萩−いわきには普通列車グリーン車の設定がありません。JR宇都宮線の宇都宮−黒磯で普通列車グリーン車の営業が終了した今、逆に導入区間を増やすこというも考えづらいと思います。かといってE501系の緊急代走時のように普通車扱いにすると、常体的な混雑を招くことも予想されます。置き換え用の編成はグリーン車を廃車して中間車のみ新造し、導入時のようなモノクラス編成に戻すか、全車ロングシートの付属編成を新造して置き換えたりする可能性もあるかもしれません。
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