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  • 通勤形電車としては初となる交直両用電車
    E501系は403系の後継機として1995年3月に登場した交直両用車両初の通勤形車両です。
    導入段階ではJR常磐線の上野−大津港とJR水戸線での運転を計画していましたが、茨城県南の沿線自治体から快速電車の土浦延伸や、通勤電車のイメージアップなどの要望があり、当時最新鋭だった209系に準じた設計となりました。その結果、トイレを付けなかったことで土浦以北への乗り入れが困難となり、運用範囲は上野−土浦に限定されることになりました。作られた編成も10両固定の基本編成が4本(40両)、5両固定の付属編成が4本(20両)と少数です。なお、付属編成は2024年3月15日で定期運行を終了しています。

    車体カラーは常磐線快速をイメージした緑色の帯1本だけという予定もあったそうですが、取手止まりや成田行きのJR常磐線快速成田線と間違えて乗車してしまうのを防ぐため、緑帯の上に細い白帯を1本追加して差別化を図ったとされています。2007年3月からは土浦−草野とJR水戸線での運用に変わりますが、車体カラーは変わっていません。
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  • 車内設備
    列車は土浦寄りが1号車、原ノ町寄りが10号車で、座席は全てロングシート。座席とつり革を合わせた定員は1,540人です。トイレ、車椅子スペースは1号車と10号車に設置されています。
    優先席は各車両とも土浦寄りで、トイレのある車両はその近くの座席となっています。優先席付近のつり革は黄色になってるほか、座席自体の色も違うので見た目で違いが分かります。

    各ドアの上に電光掲示板が設置されていて、行き先、次の停車駅、到着時に駅名が表示されるほか、走行中はJR東日本からのお知らせや運行情報が流れる仕組みになっています。ただし行き先、停車駅の表示が優先されるので、お知らせ等は駅到着直前になると途中で消えてしまいます。また、次の駅、到着駅を案内する自動放送が設置されていますが、開くドアの方向は放送されないため、自動放送のあとに車掌が降り口の案内放送を入れます。そのほか、ドアの開閉時にはチャイムが流れます。
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  • 現在の運用
    JR水戸線では故障が相次いだ結果、2018年8月末に撤退して2019年3月のダイヤ改正で正式に引退しているので運用はありません。また、前述のとおり付属編成は2024年3月のダイヤ改正で運用が無くなりました。

    基本編成は日立周辺の朝夕の激しいラッシュを補完する形で土浦−いわきで運転されています。その中で草野駅にある留置線で停泊する運用があり、翌朝に出庫を兼ねて草野駅始発となる上り列車があります。なお、予備編成がないため代走はE531系の付属編成で10両組むか、車両故障などの突発的な差し換えはE531系の基本編成が担うことがあります。基本編成での代走の場合、グリーン車は普通車として扱われ、追加料金無しで乗車することができます。


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  • これまでの運用
    2006年秋までは15両の固定編成でJR常磐線の上野−土浦で運転していました。普段は土浦電留線に停泊していて、定期検査で勝田車両センターに戻ってくるのは3ヶ月に1回程度でした。郡山総合車両センターへ入場する際は、415系が15両を組んで代走に就いていました。
    2007年3月のダイヤ改正で上野−土浦から撤退すると、代わって土浦−草野とJR水戸線で運転を開始します。JR常磐線内は基本編成もしくは付属編成だけの単独運行となり、15両での運転はなくなりました。2016年3月のダイヤ改正で415系1500番代が引退すると、JR水戸線ではE501系が主力になります。なお、基本編成は直流区間を走らなくなりましたが、数ヶ月に一度、JR水戸線で直流機器保全のための試運転が行われていました。
    同改正でJR常磐線での付属編成の運用が一旦消滅しますが、2017年10月のダイヤ改正で復活。一方、基本編成はこの改正で運用が激変し、土浦−水戸の運用が大きく減ってしまった上に、運用上の都合による佐貫駅までの回送も無くなってしまいました。
    このまま晩年まで安泰かと思われた2018年8月26日の昼下がり、付属編成の度重なる車両故障から、何の前触れも無くJR水戸線がE531系に置き換えられました。この時、E531系の車両不足を補うために付属編成が水戸−いわきの運用を代走していましたが、9月5日より暫定運用が組まれ、2019年3月のダイヤ改正まで水戸−富岡で運転されました。

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  • 改造など
    2007年3月のダイヤ改正からJR常磐線の土浦以北やJR水戸線で運用が始まるのを前に、2006年秋から郡山総合車両センターにてE531系に準じた車椅子対応トイレの設置工事が行われました。また、付属編成はトイレ設置工事と合わせてVVVFインバータの更新工事も行われ、シーメンス社製のGTOサイリスタ素子特有の加減速時のドレミファ音が聞けなくなりました。
    行き先表示幕は前面、側面とも青幕の新しいものになりましたが、車体カラーは変更されませんでした。トイレ設置に伴って当該部分の窓が埋められたほか、座席は取り外されてトイレの向かい側は手すり付きの車椅子スペースとなっています。

    JR京浜東北線で度重なる車両故障による閉じ込め事例が発生し、窓が開かなかったために体調を崩す乗客が多く見受けられたことから、すべての通勤形車両を対象に窓を開けることができるよう対策が講じられ、E501系でもトイレ改造時期と同じ2006年秋ごろに、一部が下降式窓に付け替えられました。なお、窓改造工事は勝田車両センターにて行われています。

    外観の変更は4点ほど。まずは2011年から2012年にかけて基本編成もVVVFインバータの更新工事を行い、電気連結器も撤去。同時期に付属編成も電気連結器の撤去を行い、編成番号が書かれた連結器カバーも取り外されました。また、基本編成と付属編成の同調運転はできなくなったことから、付属編成の号車番号が11〜15号車から1〜5号車に変更されています。
    つづいて2013年6月上旬までに列車番号表示機がマグサインからLED変更されました。2015年12月末までにはシングルアームパンタグラフへの換装も済んでいます。4点目は前面と側面の行き先表示機のLED化ですが、2019年3月から始まったものの全ての編成には施行されず、基本編成はK704編成以外、付属編成はK752編成のみLED化されました。

    K754編成のクハE501-1004の前面ガラスの上部にグリーンの遮光フィルムのようなものが追加されたり、編成番号にハイフン(K-751編成など)を入れたりしたこともありますが、一時的だったため詳細は割愛させていただきます。
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  • E501 SAKIGAKE(さきがけ)の登場
    2023年秋に開催された茨城デスティネーションキャンペーンでは、K754編成が観光列車に改造されました。ロゴマークは梅の花の中に光る小さな星を、水戸の水をアスタリスク(*)にして表現。白とピンクの帯はそれぞれ白梅と紅梅がイメージされています。
    梅は天下に先駆けて春を伝える花として「梅は百花の魁」と言われていて、偕楽園や弘道館は梅の名所で沢山の人が集うことや、弘道館には徳川斉昭公が「魁」の一文字を残していることから、E501 SAKIGAKE(さきがけ)も時代の先駆けとなって人が集うようにと名づけられています。
    車内の座席は従来のままのロングシートですが、テーブルが取り付けられています。E501系は2022年秋からイベント列車としても運行されていますが、その時は水郡線統括センターが所有するテーブルを借りていました。専用テーブルの設置に当たっては、床に穴をあけて脚を固定する方法も検討されたそうですが、座席の強度を高めるために座席と座席の間にある支柱にうまく固定されています。

    2023年11月23日の水戸線地酒列車でデビューを果たした後、茨城県や福島県浜通りにちなんだ食べ物や飲み物を提供する列車として運行されています。
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  • 今後の動向
    当初は製造から30年となる2025年に新型車両E533系への置き換えが検討されていたようですが、車両を統一するためにもE531系による置き換えが検討されているようです。普段は真空遮断機の使用を停止して交流専用車として運転するなどして延命措置が図られているようですが、どれくらいの効果があるのかは分かりません。
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